2021年8月 村西とおるさんの取材通訳(日中リモート同通)
サービス: | 通訳 |
通訳者: | 孫 |
言語: | 日中 |
手法: | Zoom同時通訳 |
参加国: | 日本、台湾 |
分野: | 経済誌の取材 |
業界: | AV業界 |
【背景】
村西とおるさんのことを知ったのは昨年かおととしのことでした。
ネットフリックスの『全裸監督』を観て強く感銘を受けました。
あれほど破壊力のある日本の作品は中々珍しいものです。
ドラマを通じて、村西とおるという人間に興味がわき、彼のウィキペディアやHPを拝見したのを今でも覚えています。
その後は特に接点もなく、いつもの生活を送っていました。
【きっかけ】
今年に入り、『全裸監督2』が配信されているという話を聞いていたが、忙しいのでまだ観れていなかったのです。
そんな中、彼を取材するので通訳を引き受けてくれないかとの相談が急遽舞い込んできました。
スケジュール的には厳しかったけど、どうしても気になる存在だったので仕事を引き受けることにしました。
【通訳の準備】
準備段階では、既に彼のドラマを観ていたことや、興味本位で彼の情報をネットで拝読していたのがとても役に立ちました。
AV関係の用語と彼の略歴を日中2か国語で一通り網羅して、最新のドラマも取材開始直前に見始めたところで、会議に臨みました。
【取材の通訳】ーーー温かいお人柄
オンラインでZoomを使ったリモート取材がスタートし、いよいよご本人と初対面。
簡単な自己紹介のあと、すぐに別回線で繋いでいる台湾向けに中国語の同時通訳を始めようとしたところ、村西さんがまだ「孫さん」と話しかけているではありませんか。想定外のことでしたが、彼と片言でも会話できたのがとてもうれしかったです。女性をほめるのが本当にお上手な方で、それもすーっと入ってくるような、励みになる温かいお声掛けをしていただきました。取材を通じて、彼の「相手の立場に立って、相手を喜ばせる」という理念を肌で感じることができました。作品作りも、経営も、また一個人としても、この理念を貫いておられる方でした。最新の著作『人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。』にはコロナやビジネス、さらには人生で苦戦している人への温かいメッセージが込められているそうで、ぜひを読んでみたいと思いました。
【勉強不足】ーーーエピクロス
取材では夢を追うことについての議論が繰り広げられました。原稿のないフリートークなので自分の知識の蓄えが試されました。
尊敬する哲学者を聞かれた場面では2人の偉人が登場しました。
孔子は問題なくカバーできたが、その教えである「己の欲せざることは人に施すことなかれ」は噛み砕いた中国語にしかできなかったのが残念でした。「己所不欲,勿施于人」とは瞬時に訳せませんでした。
また、ギリシアの哲学者エピクロスの死に対する価値観は訳せたが、彼の中国名「伊壁鸠鲁」を初回で訳出できず、2回目で何とかカバーしました。
【感想】
全般的にはAVの内容や人生哲学を分かりやすく通訳できた会議でしたが、東洋哲学や西洋哲学の勉強をもっと深める必要があると感じました。
もちろん日頃から励んではいたけど、力不足を痛感しました。
村西とおるさんに関しては今回の仕事を通じて、さらにファンになりました。
親しみやすいお人柄や旺盛なサービス精神、幼少期の苦労話やエネルギッシュな生き方を知るのに、彼に関する書籍や作品をもっと拝見してみたいと強く感じました。